
パーク24は国内で時間貸し駐車場の設置を増やすためにキャッシュレス精算機と監視カメラの運用を本格化する。11月以降の新設分は原則として現金非対応とし、駐車状況や料金を把握するゲートやロック板をなくす。特設駐車場が必要なイベント会場には精算機を車に積んだ移動式の駐車場システムも用意する。
時間貸し駐車場「タイムズパーキング」にクレジットカードや交通系ICカード、スマートフォン決済に対応した精算機を設ける。商業施設や医療機関などにある一部の駐車場を除き、現金は利用できない。
駐車の状況や料金などを把握していたゲートやロック板を外す代わりに、監視カメラで車両の出入りや駐車時間を識別する。利用者が出庫時にゲート前に停車して精算する手間が省け、乗り降りする際にロック板につまずくといった危険も回避できる。
パーク24は2024年にキャッシュレス専用の精算機を開発し、一部駐車場に導入してきた。四国地方にある約50件の駐車場を全てキャッシュレス精算とカメラ監視に切り替えたところ、支障がなかったことから全国での導入へとかじを切った。
完全子会社で駐車場を手がけるタイムズ24(東京・品川)の担当者によると「現金のやりとりや保管が不要になり、初期投資が少なくできる。現金の取り扱いや機器の保守に関わるランニングコストも抑えられる」と指摘する。管理や集金に関わるコストは半減するとみている。
別の担当者は「市街地から車で片道2時間ほどかかるある地方の観光地ではキャッシュレス専用の駐車場を提案したことで、集金を手がける人手を確保せずに進出できた」と語る。

パーク24は27年10月末までの中期経営計画で、年2000件のタイムズパーキングを新設する目標を掲げる。キャッシュレス精算とカメラでの管理によって新設と維持管理のコストを抑え、24年10月期実績(1600件弱)より加速させる。
パーク24は25年10月末時点で1万9679件のタイムズパーキングを運営している。既存駐車場も年1割強のペースで、キャッシュレスとカメラの方式に切り替える。
カメラ方式駐車場の増加はサービス改良にもつながる。同社のスマートフォンアプリは事前に決済情報を登録しておけば、駐車時に精算機を使わず精算できる仕組みを取り入れている。将来的には毎回精算手続きをしなくて済む仕組みの導入も視野に入れる。

仮設の駐車場需要も取り込む。移動式の駐車場管理サービス「タイムズパーキング キャラバン」の運用を、3月から本格的に始めた。キャッシュレス精算機や監視カメラ、電源設備を搭載した車両をイベント会場に送り、少ないスタッフで駐車場を運営できるようにした。
最短1日から営業でき、物販会や紅葉に合わせたイベントで駐車場運営の効率化や渋滞緩和につなげた。監視カメラで車両ナンバーを認識することで来場者の地域分析も手がけ、観光のマーケティング活動に生かせる点をアピールしていく。
(橋本剛志)
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