連日のクマの出没によって、秋田県内の企業の日常業務にさまざまな影響が出ていることが県産業政策課の調査で分かった。観光施設の予約キャンセルにとどまらず、従業員の出社の遅れや時短営業など多岐にわたっており、県は支援策を検討している。
県は14~20日に県内の6商工会議所や21商工会、県の中小企業団体中央会を対象に、影響を受けている企業数とその内容について聞き取った。この結果、小売業やサービス業、製造業、飲食業、建設業、宿泊業、金融業などの少なくとも58社が「影響がある」と回答したという。
具体的な影響では、従来の「自動ドアを手動に切り替えた」ことに加え、クマの目撃が周辺であったことで「あまり外に出たくない」といった市民の声が少なくなく、飲食やサービス、小売、金融業で来客数が減少したという。飲食業では時短営業や休業が、サービス業や宿泊業などでは予約のキャンセルが確認された。
また製造業や建設業の従業員の間では、子供の送迎によって出勤が遅れたり早退したりして製造ラインや工事に影響が出たり、猟友会のメンバーのため本業の小売業への専念が難しいといった声もあった。
一部の企業からは「露天風呂の営業を取りやめた」「缶詰の原料用のキノコを採ってくれる人が減った」などの回答があった。さらに、「販売用の柿が食べられた」「鶏舎が壊された」などとクマによる直接的な被害の訴えもあった。
県の担当者は「クマの目撃件数は現在は減少傾向にあるが、県外で『秋田は危ない』というイメージが広がり、来県者の減少が懸念される」としている。クマが今年のように何度も市の中心地に出没する事態は前例がなく、「山側だけでなく海側からも出没するなど、これまでの常識が通用しない状況になっている」として、今後も調査を継続する。
県はクマの影響に関する経営相談を受け付けている。問い合わせは窓口(018・860・2215)。【工藤哲】
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