コメの需給見通しの精度を向上させるため、食糧法で規定されているコメの出荷・販売事業者の届け出制度について、農林水産省は加工業者や中食・外食業者にまで対象を拡大させる方向で調整に入った。事業者と連絡が付くように届け出項目に、新たにメールアドレスを加えることも検討する。コメの在庫量や取引量などの定期報告も求める考え。
政府関係者が明らかにした。現在の届け出対象は主に集荷業者、卸売業者、小売業者で、一部の農家も含まれる。今回の対象者の拡大には、出荷量の多い生産者も入れる方向で検討している。
農水省が今年6~7月、国に届け出ている約7万の全事業者を対象に在庫量などを緊急調査したところ、期日までに回答があったのはわずか19%(1万3181事業者)にとどまった。期日までに未回答が55%(3万8629事業者)で、宛先不明で郵送が戻ってきたのが26%(1万8056事業者)だった。政府は調査でコメの全体の流通を把握することができず、届け出制度のずさんな実態が明らかになった。
そのため制度の見直しで新たに定期報告を求める方向で調整。報告頻度は事業規模に応じて月1回か年1回で検討している。報告内容はコメの在庫量や取引量、取引価格、精米数量などを求めることを想定する。
また届け出項目に精米能力などの事業実施体制や、主たる業種、メールアドレスも新設することも検討している。見直しにより多様化するコメの市場取引の情報を把握しやすくなり、コメ不足や流通の目詰まりが起きていないかなどの分析に役立つという。【中津川甫】
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