主食用米の生産量の統計調査について、2027年産から調査対象面積を水稲作付面積の1割(約13万ヘクタール)にまで拡大する方向で農林水産省が調整していることが25日、判明した。直近の24年産では主食用の作付面積126万ヘクタールのうち、約2000ヘクタールが調査対象面積だったことから大幅増となる。これまでより生産者の収穫量データを重視し、収集を徐々に拡大させて実現を目指す方針だ。
生産量調査は現在、全国の約8000筆(約2000ヘクタール)で「坪刈り」と呼ぶ1坪当たりの稲を刈り取るなどして実施している。その出来具合などの結果を見て、主食用米の作付面積の10アール当たりの収穫量(単収)を推計。都道府県別に出している予想単収に各地の作付面積を掛けることで、全国の生産量を算出している。
今回、調査対象を拡大する背景には、政府が昨年来のコメ不足の際、当初は「生産量は十分にある」と説明していたが、不足感があった生産現場の実感と調査結果が乖離(かいり)していると指摘があったことがある。
農水省は25年産から生産者が持つ収穫量データの収集の試行を開始。調査対象について25年産は稲作を手掛ける約600経営体(約2・6万ヘクタール)、26年産は約5500経営体(約10・2万ヘクタール)とカバー率を徐々に拡大させて効果を検証する。本格導入する27年産は約2万1000経営体(約13万ヘクタール)のデータを集めて、単収を推計する方向で調整に入った。
ただ本格導入には総務省の統計委員会の承認が必要だという。実現すれば27年産から生産者らの収穫量データに基づく調査手法に移行し、坪刈りは約5000筆にして補完的なデータとする考えだ。調査対象面積の約13万ヘクタールの内訳は、50ヘクタール以上を想定する大規模経営体(約1100経営体)の約9・4万ヘクタール、中小規模経営体(約2万経営体)の約3・6万ヘクタールを想定している。
このほか26年産から収穫量が分かるコンバインのデータなどを大規模農家らから提供してもらい、リアルタイムのデータを調査結果に反映する仕組みも検討する。また生産量調査の不信の背景に、坪刈りの対象ほ場の場所が不明確との指摘があったため、25年産から自治体などの関係機関への地図情報の提供に努めているという。【中津川甫】
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