サーブ・バイオファーマの小戝健一郎会長(右から2人目)ら(26日、東京都中央区)

鹿児島大発スタートアップのサーブ・バイオファーマ(鹿児島市)と鹿児島大は26日、遺伝子改変ウイルスを使ったがん治療法について、最終段階の医師主導の臨床試験(治験)を始めたと発表した。がん細胞だけを攻撃するように遺伝子を改変したウイルスを使った治療法を開発し、国内で2027年の承認取得を目指す。

鹿児島大教授でサーブ創業者・会長の小戝(こさい)健一郎氏を研究開発代表者として、11月に医師主導治験を開始した。骨の希少がん「原発性悪性骨腫瘍」向けに開発し、12例の患者を対象に1年間実施する。何割の患者に効果があったか評価する。

サーブが開発するのは、がん細胞だけで増えるように工夫された遺伝子組み換えウイルスを使った治療法だ。正常組織を傷つけず、感染したがん細胞を死滅させる。米国では15年に初のがんウイルス治療薬「イムリジック」が承認され、日本では東京大学と第一三共が共同開発し、条件・期限付き承認を取得した「デリタクト」がある。

サーブは条件付きでない本承認の取得を目指し、日本臓器製薬(大阪市)と提携して商用化する。都内で開いた記者会見で小戝氏は「日本では本承認された製品はなく、世界でも2例目となる挑戦的な試みだ。さらに原発性悪性骨腫瘍は有効な治療法がなく、画期的な治療薬になると期待している」と話した。

高市早苗政権は戦略投資する17分野に「創薬・先端医療」を指定した。小戝氏は「我々はイノベーションの生態系(エコシステム)などに貢献できていると思っている。国家的な重点政策実現に寄与していきたい」と述べた。

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