安川電機のAIロボ技術とソフトバンクの情報処理技術を組み合わせたオフィスでの活用イメージ

安川電機とソフトバンクは1日、人工知能(AI)ロボットの実用化で協業すると発表した。安川電機のAIロボ技術とソフトバンクの情報処理技術を組み合わせることで、オフィスビルなどの不特定多数の人がいる環境でもロボが自律的な作業を安全にできるようにする。病院や学校、商業施設などにも導入して人手不足を補うことを目指す。

AIを活用してロボが現実世界の動きを認識し最適な行動をとれるようにする「フィジカルAI」の社会実装に向けた協業の覚書を交わした。まずオフィスでのロボの活用事例を共同開発した。机の整理や棚からの物品取り出しなど、これまで難しかった複数の作業をロボがこなせるようになるとしている。

従来のロボは工場の生産ラインなどで特定の作業を繰り返すものが中心だった。オフィスなど様々な人が出入りする環境では、状況の変化に応じて必要な作業や順番が変わるためロボの活用が進んでこなかった。両社はフィジカルAIにより、ロボが周囲の状況をリアルタイムで認識し判断しながら適した行動をとれるようにする考えだ。

安川電機はAI機能を搭載した産業用ロボやヒト型ロボを手掛けている。ソフトバンクはAIと無線アクセスネットワーク(RAN)を同じコンピューター基盤の上にまとめて動作させるシステムを開発している。これらの技術を結びつける。

具体的にはソフトバンクのシステムでロボがこなすべき作業をAIで生成して指示し、安川電機のロボが具体的な動作をAIで生成し精緻な制御によって実行する。その際にセンサーやカメラなどから得られる膨大な情報を、ソフトバンクの通信や情報処理の技術により低遅延で解析することでロボに最適な行動を指示する。

例えば会議の準備をする際に、会議室の机をふいて必要な物品を倉庫から人数分を取り出して並べるといった一連の作業を、ロボが自律的にこなせるようにする。備品の数や設備の使用状況などを把握するビルの管理システムとも連携する。

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