大阪ガスなど、米国からeメタン輸入　30年度目標･再エネで水素製造

大阪ガスや東邦ガス、伊藤忠商事は2日、燃やしても二酸化炭素（CO2）の排出が実質ゼロとみなされる都市ガス原料「eメタン」を米国から輸入するための調査を始めると発表した。現地企業などが中西部ネブラスカ州で進める世界最大級のeメタン製造事業に参画し、2030年度からの輸入開始を想定する。

同事業では、フランス石油大手トタルエナジーズ子会社などと再生エネルギーを使って製造した「グリーン水素」とCO2を合成して、eメタンを年間約7万トン製造する。この事業から大阪ガスなどが30年度までに導入を目指す「都市ガス供給量の1%分」のeメタンをほぼ確保できるという。

都市ガスの原料である液化天然ガス（LNG）とeメタンは成分が同じで、既存の輸送インフラが使える。そのため脱炭素に向けた都市ガス原料の本命とされる。

製造したeメタンは大阪ガスが出資するLNG基地などに送り、LNG船で日本まで運ぶ。大阪ガスなどは27年度までに投資内容の詳細を詰める。

eメタンが世界で輸出入された実績はまだなく、日本や欧米の各国内で実証実験などによる小規模な生産が現状だ。大規模に生産し輸出入を見据えた事業は米国を中心に複数検討されているが、今回のネブラスカでの事業が初めて基本設計に入る。

再エネ由来のグリーン水素は製造コストの高さが課題だ。ネブラスカ州は他の地域に比べると再エネコストが低く済むという。脱炭素を推進するインフレ抑制法（IRA）の適用も想定し、採算を取る方針だ。

大阪ガスは米国で天然ガスを改質して水素をつくる際に出るCO2を地下貯留する「ブルー水素」で合成したeメタンの輸入も検討している。多様な手法でeメタンの調達コストを抑えられないか模索し、持続可能なサプライチェーン（供給網）の構築を目指す。

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