
【シリコンバレー=清水孝輔】米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は3日までに、クラウド経由で提供する人工知能(AI)のサービス基盤の機能を拡充すると発表した。AIが自律的に作業をこなす「AIエージェント」が利用者との過去のやり取りを長い間記憶し、個人に合わせて柔軟に回答できるようにする。
米アマゾン・ドット・コム傘下でクラウド事業を手がけるAWSが米西部ラスベガスで開催中の年次イベント「リインベント」で発表した。AWSがAIエージェントを開発する企業向けに提供するサービス基盤「アマゾン・ベッドロック・エージェントコア」の機能を増やす。
AIが利用者とのやり取りを記憶する「メモリー」と呼ぶ技術の追加機能を発表した。過去の経験に関する利用者との会話内容を外部データとして保存し、中断した会話を再開するときに記憶として引き出す。AIが利用者の過去の経験を理解し、それを踏まえた適切な回答を出せるようにする。
そのほかにもAIエージェント向けのサービス基盤に複数の機能を追加すると表明した。「ポリシー」と呼ぶ新機能では、自律型AIの行動範囲にあらかじめ明確な制限を設ける。AIがアクセスできる社内データなどの範囲を決め、企業側が安心してAIを導入できるようにする。
AWSで機能開発を担うプロダクトマネジャー、エリン・クレーマー氏は日本経済新聞などの取材に答え、自律型AIについて「ほぼ全ての業務形態を変える可能性がある」と述べた。個人が会計やマーケティングなどの専門知識を持っていなくても、自律型AIの支援を受ければ高度な業務を担えるようになるとの見方を示した。
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