
核融合発電技術を開発するHelical Fusion(ヘリカルフュージョン、東京・中央)は第三者割当増資で約8億7000万円の資金を調達した。2030年代の発電実証の実現に向けて、まずは発電を伴わない実験炉の開発費用に充てる。
増資はイークラウド(東京・千代田)が運用する個人投資家向けの個別銘柄ファンド「イークラウドNEXT」第1号や、ゴム・プラスチック部品商社のゴムノイナキ(名古屋市)などが引き受けた。今回の増資は事業開発段階の「シリーズA」の追加調達に当たる。同シリーズ全体の調達額は約32億円となった。
21年創業のヘリカルフュージョンはらせん構造のコイルを使い、磁場でプラズマを制御して核融合を起こす「ヘリカル型(ヘリオトロン型)」の核融合炉を開発する。25年には「Helix HARUKA(ヘリックス・ハルカ)」と呼ぶ発電を生まない実験炉の建設に向けた部品などの開発を始めた。調達資金で実験炉の装置や部品の開発を進める。
田口昂哉最高経営責任者(CEO)は「ヘリックス・ハルカの総建設費は350億〜400億円ほどかかる」と試算する。同社はこれまで補助金や融資を含めて累計60億円を調達しており、今後の資金確保が課題となる。
核融合は太陽で起きている反応を再現した技術で脱炭素エネルギーとして期待されており、国は30年代の発電実証を目標に掲げる。
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