
コロナ禍後も苦境が続く国内の航空路線について、公正取引委員会は5日、航空各社が同一路線を運航している場合のダイヤの調整を容認する見解を示した。独占禁止法は、企業同士が商品の価格や生産数量などを共同で決め、競争を回避するカルテルを禁止するが、減便しないなど一定の条件を満たせば抵触しないとした。
国土交通省が設置した有識者会議で明らかにした。公取委は会議で、ケース・バイ・ケースを前提としたうえで、運賃や料金、便数、路線を制限する各社間の調整は「原則として独禁法上問題となる」と説明。ただ、これらの制限を伴わない範囲では問題なく、運賃や便数に関する制限などを伴わない、ダイヤのみの調整は容認する見解を示した。
複数社が運航する路線では、便が集中する時間帯もある。分散すれば、乗客の利便性が向上し、搭乗率アップにつながる可能性もある。

一方、公取委は2社で調整し、1社が路線から撤退することは、原則として独禁法上問題となると指摘。どちらか一方の撤退を前提とした2社によるコードシェア(共同運航便)も問題との認識を示した。
航空法には、需要が減る国内線で2社以上による共同経営は独禁法の適用を除外する規定があるが、過去に適用例はない。会議では今後、この規定を適用できる路線や、路線維持のため、どの程度の調整が許されるかなどを議論し、来年5月ごろをめどに取りまとめ案を示す。
燃料などのコスト上昇に加え、単価の高かった出張などのビジネス客がコロナ禍後に戻らず、国内線は厳しい経営状況が続く。国交省によると、国内線の日帰り旅客のうち、「出張・業務」目的は、2019年の約317万人から24年には約103万人にまで減少。一方、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の営業費用は、18年度から24年度にかけて16%増えた。
国交省は今年5月に事業者や有識者を交えた会議を設置し、国内線の長期的なあり方について議論を進めている。
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