
KADOKAWAグループで海外クリエーターのマネジメントを手掛けるGeeXPlus(ギークスプラス、東京・千代田)は24日、短編アニメ「bâan(バーン)――大人の彊界(きょうかい)――」の先行上映会を都内で開いた。同社がアニメを制作するのは初めて。海外作家によるアニメ発IP(知的財産)の創出を加速させる。
17分間の短編作品だ。舞台は日本と、「ユーサニア」と呼ばれる異世界。文化も暮らしも全く違う環境で育った若者たちが故郷を離れ、見知らぬ土地で生き方を探る過程を描く。

企画・原案は、GeeXPlusに所属するYouTuberのGigguk(ギガク)氏が「Garnt Maneetapho(ガーント マニタポ)」名義で手掛けた。「bâan」はタイ語で「家」を指す。タイ人の両親のもと英国で育ったGigguk氏は、今作に「故郷の在りかをめぐって私自身が抱えてきた葛藤を投影した」と振り返る。
Gigguk氏はアニメの批評動画で英語圏を中心に定評のある配信者だが、アニメの企画に挑んだのは初めて。「コードギアス 奪還のロゼ」などで知られる大橋誉志光氏を監督に迎えた日本の制作陣と組み、完成させた。「bâan」の日本語版と英語による吹き替え版は、9月20日にYouTubeで公開予定だ。

GeeXPlusはこれまで、英語圏に向けた発信を得意とする動画制作・配信者のマネジメントを中心に行ってきた。所属する動画配信者の中にアニメの知識が豊富な人材が増えてきたことを受け、アニメ制作事業への参入を決めたという。
同社は、所属するクリエーターによるアニメの企画・制作を事業の新たな柱にする計画だ。まずはYouTubeでの無料配信作品から始めるが、今後は国内外の有料動画配信プラットフォームや地上波向けの作品も製作して収益化を目指す。
KADOKAWAは24年に「【推しの子】」や「ちいかわ」のアニメ制作で知られる動画工房(東京・練馬)を子会社化するなど、アニメ事業を拡大してきた。国内のアニメーター不足が続くなか、海外作家の起用でIP創出の土壌を広げる。
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