米メディア大手パラマウント・スカイダンスと米動画配信大手ネットフリックスのロゴ=2025年12月8日、ロイター

 米メディア大手パラマウント・スカイダンスは8日、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーに対する敵対的買収を開始したと発表した。提示した買収金額は1084億ドル(約17兆円)。ワーナーを巡っては、米動画配信大手ネットフリックスが720億ドルで買収することで合意したばかり。パラマウントも以前から買収に意欲を示しており、ネトフリを上回る金額を提示した。

 パラマウントの発表によると、普通株式1株当たり30ドルで買い取る。映画製作などのスタジオ部門や動画配信サービス部門のほか、CNNなど不振の報道部門を含むワーナー全体の獲得を目指している。ネトフリは報道部門の分社化後にワーナーを買収する方向となっている。

米メディア大手パラマウント・スカイダンスの看板=西部カリフォルニア州で2025年12月8日、ロイター

 米メディアによると、パラマウントはワーナー買収に向けた入札に参加したが、ネトフリに競り負けた。パラマウントのデービッド・エリソン最高経営責任者(CEO)は8日の声明で「当社の提案は、より強いハリウッドを生み出す。消費者や業界にとって最善の利益となる」と強調した。劇場公開される映画の本数増加といった「恩恵」が考えられるという。

 パラマウントの買収提案によって、ワーナー獲得競争が激化する可能性がある。また、政府の承認を巡って曲折も予想される。トランプ大統領は7日、ネトフリによるワーナー買収について、「両社は大きな市場シェアを占めている。支配力がさらに強まる」などと報道陣に懸念を示し、政府による介入を示唆した。【ワシントン浅川大樹】

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