大船渡山林火災の被災木で作ったおもちゃの説明をする太野由佳子さん。猫は縫いぐるみ=岩手県庁で2025年12月9日午前11時28分、山田英之撮影

 猫用品の製造販売会社「クロス・クローバー・ジャパン」(盛岡市)は、岩手県大船渡市で今年2月に発生した山林火災の被災木で作った猫のおもちゃを12日に新発売する。代表の太野由佳子さん(48)は「当時、何も力になれず、歯がゆかった。被災木に新しい命を吹き込みたい」という思いで商品を開発した。

 山林火災の被災地では、被災木を廃棄するのではなく、建築材料などに有効活用する仕組みをどう作るかが課題になっている。木の外側が焼けていても、強度や品質に問題のない内部の部材を今回、新商品に活用した。

 おもちゃは丸い穴が開いて、中に木製の球を入れる。猫は穴から前脚を入れて、球を転がしたり、穴から出そうとしたりして遊ぶ。太野さんの飼い猫(愛称・猫社員)が商品テストをした。

 同社販売のキャットフードの原料になる鶏肉は、大船渡市で育てられている。山林火災の前から縁があったことから、「いつか自分にできる形で恩返しをしたかった。少しでも地域に寄り添う取り組みをして、復旧に貢献したい」と太野さん。

 猫が爪を研ぐための商品の木枠も、大船渡の被災木で作った。木枠の中に、爪研ぎ用の段ボールを入れて使う。猫の好みに合わせて、硬さの異なる段ボールを用意している。

 おもちゃ、爪研ぎともに1万5500円。いずれも同県花巻市の木工職人が手作りした。猫用品のブランド「nekozuki(ねこずき)」を展開する自社サイトで販売する。【山田英之】

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