エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(中央)=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】米エヌビディアが人工知能(AI)半導体「H200」の生産能力増強を検討していることが12日、わかった。ロイター通信が複数の関係者の話として報じた。H200を巡ってはトランプ米大統領が8日に中国への輸出を許可したばかり。中国からの受注が生産能力を上回ったという。

ロイターによると、アリババ集団や字節跳動(バイトダンス)など中国の大手企業の数社がH200の購入のために今週に入りエヌビディアに接触し、大規模な注文の意向を伝えた。エヌビディアは中国勢の需要が強いため、顧客企業に増産を検討中だと伝えたという。

米政府は8日にH200の対中輸出を認めていた。代わりにH200の対中輸出の売上高から25%の「上納金」を米国が受け取る可能性がある。米政府はH200の輸出は認めていなかったが、貿易交渉の一環で半導体を巡る駆け引きを続けている。

H200はエヌビディアの現在の主力品「ブラックウェル」シリーズの1世代前の製品群に属する。従来エヌビディアが米政府の輸出規制に合わせて性能を落として対中輸出していた「H20」よりは性能が上回る。

一方、英紙フィナンシャル・タイムズは中国政府がH200の輸入規制を検討中と報じている。中国企業はH200の購入意欲をもつ一方で、中国政府は国内メーカーの製造を促し、AI半導体の自給体制の構築を目指している。

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