買収後に炭酸飲料などの部門とコーヒー部門を分割する

【アトランタ=川上梓】米飲料大手のキューリング・ドクター・ペッパーは25日、オランダのコーヒー会社、JDEピーツを157億ユーロ(約2.7兆円)で買収すると発表した。不振が続くコーヒー事業の立て直しを狙う。買収後に炭酸飲料などの部門と買収するブランドを含むコーヒー部門を分割し、3年間で4億ドルの相乗効果を見込む。

キューリング・ドクター・ペッパーはJDEピーツの株式を1株あたり31.85ユーロで現金で買い取る。前週末の終値に20%のプレミアを乗せた価格となる。

キューリング・ドクター・ペッパーは炭酸飲料「ドクターペッパー」や「セブンアップ」などを扱う大手飲料メーカー。2018年に米コーヒーメーカーのキューリング・グリーン・マウンテンと経営統合した。キューリングが主力とするカプセル式のコーヒー販売を手掛けてきたが、出荷が伸び悩み、苦戦していた。

JDEピーツは「ヤコブス」「ロール」などのブランドで欧州を中心にコーヒー販売店を展開している。キューリング・ドクター・ペッパーは買収で米国以外の販路を取り込み、コーヒーの販売地域を100カ国以上に拡大することを目指す。

買収後、キューリング・ドクター・ペッパーは買収したブランドを含むコーヒー部門と、主力の炭酸飲料「ドクターペッパー」などの飲料部門を分割し、分割後の2社を米国に上場する。事業分割は速やかに行うとしている。

キューリング・ドクター・ペッパーのティム・コーファー最高経営責任者(CEO)は25日、「世界的なコーヒー業界の巨人を立ち上げるまたとない機会だ。短期、長期にわたって株主価値を創出する準備が整っている」とコメントした。

コーヒー業界はトランプ米政権の関税政策の影響にさらされている。米政権はブラジル産のコーヒー豆に50%の関税をかけた。気候変動も背景に米国のコーヒー価格は値上がりが続き、企業のコストを圧迫している。

発表を受けてキューリング・ドクター・ペッパーの株価は25日の米株式市場の時間外取引で8%安で推移している。JDEピーツの株価は25日のロンドン市場で17%高となった。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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