
【ニューヨーク=竹内弘文】米電子決済大手ペイパル・ホールディングスは15日、西部ユタ州当局と米連邦預金保険公社(FDIC)に対し、銀行免許の取得申請をしたと発表した。中小事業者向け融資やクレジットカード事業の拡大を狙う。
「ペイパル・バンク」の設立申請書をユタ州当局に提出した。米国の銀行免許には、連邦政府から認可を受けたナショナルバンクと州当局から認可を受けた銀行がある。州認可の銀行は支店立地などで制約がある。承認されればFDICの預金保険に加わる。
ペイパルのアレックス・クリス最高経営責任者(CEO)は声明で「ペイパル・バンクの設立により、全米の中小企業の成長と経済機会を効率的に支援できるようになる」と述べた。
ペイパルによると2013年以降、中小企業・個人事業主向けに累計300億ドル(約4兆6500億円)以上の融資を実行してきた。米国で銀行免許を取得し、預金を受け入れて手元資金を確保しやすくすることで、融資の拡大を目指す。
クレジットカード発行も計画する。米国ではクレジットカードの発行主体は銀行が担う。ペイパルは現在、シンクロニー・バンクと組んで自社ブランドのカードを提供しているが、銀行免許を取得できれば直接発行できるようになる。
ペイパル・バンクの社長には、トヨタ自動車の米国における販売金融を担っていた銀行で社長兼CEOを務めたマーラ・マクニール氏が就く予定だ。
トランプ政権が金融規制の緩和を進めるなか、異業種による銀行設立の動きが続いている。ナショナルバンクなどを監督する米通貨監督庁(OCC)は12日、暗号資産(仮想通貨)事業者である米サークル・インターネット・グループや米リップルなどによる信託銀行の設立を条件付きで承認した。
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