東京は文化・交流や居住分野のスコアが改善した

森ビル系シンクタンクの森記念財団都市戦略研究所(東京・港)が17日発表した「世界の都市総合力ランキング2025」で、東京が2008年の調査開始以来、初めて2位となった。円安や訪日客の回復を背景に文化・交流や居住分野のスコアが改善した。ニューヨークは物価高騰の影響で3位に転落した。ロンドンは14年連続で首位を維持した。

ランキングは世界の主要48都市を対象に①経済②研究・開発③文化・交流④居住⑤環境⑥交通・アクセス――の6分野・計72指標で評価した。

東京は新型コロナウイルス禍で落ち込んだ訪日客の回復を受け、文化・交流分野が2位と順位を1つ上げた。「観光地の充実度」や「食事の魅力」、「文化イベント開催件数」など多くの指標で上位に入った。円安を背景に「物価水準の低さ」でも順位を改善し、居住分野は首位となった。

一方で、経済分野は前年の10位から12位に順位を下げた。「賃金水準の高さ」や「優秀な人材確保の容易性」などビジネス環境の指標でスコアが振るわなかった。

3位となったニューヨークは経済分野で首位を維持したものの、居住分野の順位を44位まで下げた。物価高騰の影響で「物価水準の低さ」や「住宅賃料水準の低さ」の指標が48都市で最下位だった。ニューヨークでは11月の市長選で生活費の高騰対策を掲げたゾーラン・マムダニ氏が当選した。

ロンドンは五輪を開催した12年以降、首位を維持する。経済や研究・開発、文化・交流や交通・アクセスなど多くの分野で上位を占めた。上海や北京、台北などコロナ禍で落ち込んだアジアの都市の順位上昇も目立った。

日本国内の都市では、大阪・関西万博を開催した大阪が18位と前年の35位から大幅に順位を上げた。「外国人訪問者数」など文化・交流分野の指標でスコアが上昇した。福岡は40位と前年から順位を2つ上げた。「空港アクセス時間の短さ」が首位だった。

森記念財団の市川宏雄理事(明治大学名誉教授)は17日の記者会見で「ニューヨークは住宅賃料や物価の高さで力を下げた。東京は文化・交流などでスコアを上げ、結果的に順位が入れ替わった」と話した。大阪の順位アップについては「(12年夏季五輪を開催した)ロンドンのように、国際的なイベントが都市力を上げる契機になっている」と指摘した。

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