(左から)NTTドコモの前田社長、住信SBIネット銀行の円山社長、三井住友信託銀行の大山社長(19日午前、東京都文京区)

NTTドコモと三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行は19日、ドコモと三井住友信託銀で共同出資する住信SBIネット銀の商号を「ドコモSMTBネット銀行」に変えると発表した。また、25日までに三井住友信託銀が住信SBI銀への出資比率を約45%へ高めるとも発表した。ドコモと三井住友信託銀の両社が対等な立場でネット銀の成長をけん引する体制が整う。

三井住友信託銀は25日までに住信SBI銀へ800億円を追加出資する。内訳はドコモの保有株の一部を取得する分が500億円、住信SBI銀による第三者割当増資の引き受けが300億円分となる。三井住友信託銀の出資比率は約34%から約45%に高まる。

2026年8月3日付で商号を変更する。東京都内で19日、記者会見したドコモの前田義晃社長は新社名について「あえて奇をてらわない社名にした」と話した。共同経営のパートナーである三井住友信託銀との連携を名実ともに強める。連結子会社化した10月からすでに「d NEOBANK(ディー ネオバンク)」というブランド名でサービスの提供は始めている。

三井住友信託銀の大山一也社長は「ネット銀との一体運営を強め、我々自身のグループの成長につなげる」と語った。

記者会見する(左から)NTTドコモの前田社長、住信SBIネット銀行の円山社長、三井住友信託銀行の大山社長(19日午前、東京都文京区)

3社は今回の再編を機に共同の施策を本格的に始める。

給与受取や口座振替といった日常的な銀行取引や、通信回線とのセット利用によってドコモの自社ポイント「dポイント」がたまるようにする。クレジットカード「dカード」の引き落としにネット銀の口座を設定することでカード利用時のポイント還元率を高めたり、ドコモサービス利用者向けに住宅ローンの金利を優遇したりする。

ネット銀の住宅ローンは三井住友信託銀でも扱う。自前の住宅ローン顧客に移行させる方向だ。信託側では相続や不動産取引など富裕層向けの対面サービスへさらに特化していく。

ドコモなどは新たな金融商品の開発に取り組む方針も示した。ドコモが持つ不動産やインフラを組み込んだ商品を三井住友信託銀が組成し、小口化した上で個人など向けの金融商品として提供するサービスを検討する。

住信SBIは26年2月からアプリ上で生成AI(人工知能)を試験的に導入することも明らかにした。利用者が音声やチャットで振込を指示すると、AIが自動で振込画面まで案内し簡単に振り込みができるようにする。AIによる過去の決済取引の分析や家計管理への助言など顧客の利便性の向上を狙う。

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