ANAホールディングス（HD）と宇宙航空研究開発機構（JAXA）は、衛星リモートセンシング（遠隔探査）技術を活用した定期旅客便による大気成分などの自動観測実証を開始すると発表した。ANAが運行する旅客便に観測装置を搭載し、日本列島全体を網羅した詳細な観測が可能であることを実証する。

ANAHDとJAXAは、JAXAの温暖化ガス観測技術衛星「いぶき」の観測技術を応用し、都市域の大気成分などを航空機の客室内から観測する技術の共同開発を2020年から進めてきた。都市域での温暖化ガス排出量削減の検討や削減効果の評価に役立つデータを提供し、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への貢献を目指す取り組みだ。

これまでは、JAXAが開発した装置をANAの航空機内にその都度持ち込んで実証を進めてきた。今回、ANAが保有する航空機の客室内の一部を改修して装置を搭載し、客室内から大気を観測する技術を開発した。

衛星リモートセンシング技術を活用した定期旅客便での大気成分などの自動計測は、世界初の試みという。宇宙からの衛星による広域な観測と、航空機による高頻度かつ詳細な観測を複合することで、より高精度な観測網の構築を目指す。

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