
マツダが25日に発表した11月の世界販売台数は前年同月比2%減の11万台だった。下落率は前月(17%)から大幅に改善したが、前年割れは4カ月連続になる。新車の発売で欧州や中国は伸びたが、新車効果が一巡した日本の販売が落ち込んでいる。
マツダは米国の高関税政策で悪化した業績の回復に向け、2026年3月期下期に世界で販売攻勢をかける方針を掲げる。欧州、中国、日本などでは上期比で販売を大幅に増やす。最重要市場の米国では高収益の大型多目的スポーツ車(SUV)に注力する。
日本の販売は1万500台で前年同月比18%減だった。24年10月に発売した新車の需要一巡などが響いた。前年割れは2カ月連続になる。
顧客獲得のために販売網の再構築に着手している。通称「黒マツダ」と呼ばれる黒を基調とした高級感のある店舗を都市部で増やし、接客水準も高める。

欧州の11月の販売は9%増の1万3700台だった。小型車が伸びたほか、中国の合弁工場で生産する電気自動車(EV)セダン「EZ-6」を輸出して9月に発売したことも奏功した。中国は12%増の9500台で、9月に発売した中型SUV「EZ-60」が現地販売の4割近くを占めた。EZ-60にはEVとプラグインハイブリッド車のモデルがある。
中国と欧州ではこの2車種をてこに電動車需要の取り込みを図る。欧州では主力SUV「CX-5」を全面改良して12月に投入する。
一方、米国は3万2900台で2%減だった。現地のアラバマ工場で唯一生産する中型SUVが伸びた。販売に力を入れる高単価の大型SUV「CX-90」は6%減の4500台だった。
CX-90はメーカー希望小売価格が約4万ドル(約600万円)からで利益率が高い。年次改良に合わせ、価格を上げて原価低減をして関税対応力を高めている。
大型SUVなどの販売拡大に向けて日本からの輸出を増やしている。米国向けの輸出台数は合計1万9700台で前年同月比18%増と大幅に伸びた。前年同月を上回るのは3カ月連続になる。「26年3月期下期は米国向けの生産と輸出を強化する」(メディアリレーション部)としている。

世界生産は5%減の9万5200台だった。国内生産は2%減の5万8000台だった。大型SUVなどを生産する山口県の工場が低迷した。大型SUVのうち、北米販売が中心の車種は好調だったが日本や欧州向けの車種の生産が減った。
メキシコ工場は33%減の1万2500台だった。米国への輸出車の生産が多く、関税負担を避けるために収益性が低い小型車の生産を抑えていることが響いた。
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