国会議事堂=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 政府は26日、2026年度予算案を閣議決定した。物価高や人件費の高騰を反映し、一般会計の歳出総額は122兆3092億円で、25年度当初予算(115兆1978億円)より6・2%増えて過去最大。国の借金返済や利払いに充てる国債費も25年度当初比10・8%増の31兆2758億円で過去最大となった。高市早苗政権発足後初の編成となった今回の予算案は財政拡張路線が鮮明となり、金融市場は警戒を強めそうだ。

 歳出のうち、国の政策に充てる「一般歳出」は同3・0%増の70兆1557億円。このうち最大の歳出である社会保障関係費は、診療報酬のプラス改定や高齢化の進展で2・0%増の39兆559億円と過去最大となった。診療報酬は物価や賃金の高騰に対応するため、医師の技術料や人件費にあたる「本体部分」の引き上げ幅を30年ぶりの高水準となる3・09%とした。

 防衛関係予算は防衛力の抜本強化方針に基づき、初めて9兆円台を突破。3・8%増の9兆353億円となった。地方自治体の財源となる地方交付税交付金は、10・6%増の20兆8778億円を計上した。

 国債費は想定金利を25年度当初の2・0%から3・0%に大幅に引き上げたことで膨らんだ。高市政権の積極財政への懸念や、日銀の利上げを受けて、直近の長期金利が2%を超えたことを踏まえた。

 歳入は、税収が7・6%増の83兆7350億円で、7年連続で過去最高を更新する。賃上げなどにより法人、所得、消費の主要3税全ての伸びを見込む。

 そのほか、税外収入を8兆9902億円計上したが、歳出総額をまかなえず、不足分を補う新規国債発行額は29兆5840億円と、25年度当初(28兆6471億円)を上回った。ただ、17年ぶりに30兆円を下回った25年度当初に続き2年連続で30兆円を切ったとして「抑制的な国債の発行額だ」(高市首相)とアピールしている。新規国債の内訳は、公共事業費などの財源となる建設国債が6兆7160億円で、建設国債を発行しても歳入が足りない分を埋める赤字国債は22兆8680億円。

 政府は同日、所得税がかかり始める「年収の壁」について現行の160万円から178万円への引き上げや、防衛力強化に向けた財源確保のための所得増税などを明記した政府税制改正大綱も閣議決定した。26年1月開会の通常国会に予算案と税制改正関連法案を提出する。【加藤結花】

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