政府は26日の閣議で2026年度予算案を決定した。一般会計総額は122兆3092億円と、2年連続で過去最大を更新した。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の下、インフレ型経済に本格的に対応。社会保障費はこれまで最大だった前年度当初を上回った。「金利のある世界」の到来で国債費の増加も加速。初めて30兆円を超え、歳出全体を押し上げた。
高市政権による当初予算の編成は初めて。政府は予算案を年明けの通常国会に提出し、年度内の成立を目指す。参院では少数与党のため、所得税の課税最低ライン「年収の壁」の大幅引き上げで合意した国民民主党の賛成を得たい考えだ。
片山さつき財務相は同日の閣議後記者会見で「重要施策について予算を増額し、財政規律にも配慮した」と説明。その上で、インフレによる名目GDP(国内総生産)の拡大を踏まえると「経済規模にふさわしくない過大な数字ということはどこから見ても言えない」と強調した。
歳出の3割超を占める社会保障関係費は39兆559億円と、25年度当初比で2.0%増加。物価高・賃上げ対応で、医療従事者の人件費などに充てる診療報酬の「本体」部分を3.09%と前回(0.88%)から大幅に引き上げたことが影響した。
「強い経済」の実現に向けた危機管理・成長投資では、特別会計で人工知能(AI)・半導体の支援に1兆2390億円を計上。26年から始める高校授業料と小学校給食の無償化には約7000億円を充てる。
25年度に国内総生産(GDP)比2%の目標を2年前倒しで達成した防衛関係費は、デジタル庁所管を含まないベースで8兆9843億円、自治体に配る「地方交付税交付金等」は20兆8778億円で、いずれも過去最大となる。
国債の償還や利払いに充てる国債費は31兆2758億円と、6年連続で過去最大を更新。高市政権の財政拡張路線への懸念から長期金利が急上昇しており、利払い費の算出に用いる想定金利は2.0%から3.0%に引き上げた。
歳入面では、物価高や企業業績の好調を背景に税収が過去最高の83兆7350億円を見込む。ただ、歳出の伸びには追い付かず、財源不足を補うための新規国債発行額は29兆5840億円と、25年度当初(28兆6471億円)を上回る。国債依存度は24.2%となり、財源の4分の1を借金で賄う構図が続く。
閣議に臨む高市早苗首相(中央)=26日午前、首相官邸
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