「責任ある積極財政」を掲げる高市政権が編成した2026年度予算案は、国の借金である国債の元本返済と利払い費を合わせた「国債費」が31兆2758億円と過去最大になった。長期金利の急上昇を受け、利払い費は13兆371億円とかつてない水準に膨らむ。債務残高が右肩上がりで増える中、金利上昇が続けば財政の持続可能性への疑念は増し、市場の信認は失墜しかねない。

財源不足を補う新規国債発行額は29兆5840億円と、17年ぶりの低水準となった25年度当初予算の28兆6471億円からは微増にとどめた。もっとも、物価高や好調な企業業績で税収が押し上げられた要因が大きく、歳出規模が抑えられたわけではない。普通国債残高の増加は続き、26年度末には1145兆円に達する見込みだ。

金融市場では、高市政権の発足以降、財政悪化への警戒感から長期金利の上昇ペースが加速。22日には日銀の利上げ決定なども背景に長期金利は約26年10カ月ぶりに2.1%台を付けた。

金利急騰を受け、利払い費の算定に使う想定金利は3.0%と、今年8月の概算要求時(2.6%)からさらに引き上げた。低金利時代に発行した国債は借り換えに伴って順次、高金利の国債に置き換わるため、利払い費は加速度的に増す。財務省は28年度にかけて金利が2.5%まで上昇した場合、利払い費は約16兆1000億円まで増え、その後の金利が横ばいでも34年度に約25兆6000億円まで膨らむと試算する。

高市早苗首相は政策経費を借金に頼らず税収などでどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)について、これまで政府が掲げてきた単年度黒字化目標を「数年単位でバランスを確認する」方向に見直す方針。「いま必要なのは行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させることではなく、積極財政により国力を強くすることだ」と強調するが、財政健全化の道筋を見失うことになれば、市場の不安がさらなる金利急騰を招きかねない。

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