不正会計が明らかになった人工知能(AI)開発のオルツが会社を清算する見通しとなりました。循環取引を通じて売上高の最大9割を架空計上したまま、東証グロース市場に新規上場したことは新興市場に大きな衝撃を与えました。「偽りの成長企業」がなぜ不正に手を染め、どのような末路をたどったのかを振り返ります。

議事録サービス、従業員にも契約迫る

2024年10月の上場会見の様子(写真左)と第三者委員会がまとめた不正会計の報告書

オルツは2020年ごろ、資金調達に向けた実績づくりのため、AIによる議事録サービスの売上高を水増しする循環取引を考案しました。取引先だけでなく、従業員にもサービスの契約を迫る一方で、顧客別売上高などの詳細データには一部の幹部しかアクセスできないようにし、不正を隠蔽しました。

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VC、監査法人、証券会社不正見抜けず

日本取引所(東京都中央区)

オルツには複数の大手ベンチャーキャピタル(VC)が出資していたほか、監査法人シドーが会計監査、大和証券が上場審査を行いましたが、不正を見抜くことができませんでした。事態を重くみた日本取引所グループは25年12月、企業の新規上場を審査する際に内部通報制度が適切に整備されているかをチェックするなど対策を発表しました。

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スポンサー見つからず事業継続を断念

オルツ本社の家宅捜索に入る捜査関係者(10月9日、東京都内)

東京地検特捜部は25年10月、オルツ元社長の米倉千貴容疑者ら4人を金融商品取引法違反容疑で逮捕しました。一方、民事再生手続きに入ったオルツは同年9月、臨時株主総会で新たな取締役3人を選任しましたが、スポンサーが見つからず、事業継続が難しくなりました。同年12月に開いた債権者集会で会社を清算する方針で合意しました。

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