
【ヒューストン=大平祐嗣】実業家イーロン・マスク氏が率いる米スペースXが26日、米南部テキサス州で大型ロケット「スターシップ」の10回目の打ち上げ試験を成功させた。成功は4回ぶり。火星や月探査を想定し成長戦略を担う大型船は地球を半周し、インド洋に着水した。直近の連続失敗による不信を払拭した。
スターシップは高さ120メートルの史上最大のロケットシステムで、上部の宇宙船と下部の大型推進装置「スーパーヘビー」で構成する。宇宙船に6基、推進装置に33基のエンジンを搭載する。有人での月面着陸や将来の火星探査向けに開発している。
米国中部時間の午後6時30分(日本時間午前8時30分)に打ち上げた後、宇宙船は宇宙空間の軌道に到達して1時間後に着水した。飛行中には同社の通信システムに模した衛星を宇宙船から展開し、飛行中のエンジンを再点火する試験を実施した。
スペースXは最終的に宇宙船とブースターの再利用を目指しており、再利用を見据えて大気圏への突入時に機体を保護する新たな金属材料の試験も行った。
直近は失敗が続いていただけに今後の開発や訓練に弾みがつきそうだ。米連邦航空局(FAA)は5月にスターシップの打ち上げ可能回数を年間5回から25回に増やした。今後試験ペースを早める可能性がある。
スターシップは23年4月に初めて打ち上げ、飛行試験を重ねてきた。直近の3回は連続して宇宙船が空中分解していた。前回の失敗は燃料系のシステム故障の可能性が高いとして改善していた。
元々は24日に打ち上げ予定だったが地上システムで問題が生じた。25日は天候不良となり、2日連続で予定が遅れていた。
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