松屋銀座店で提供するデザートコース(7日、東京都中央区)

百貨店の2026年のバレンタインデー商戦が始まった。原料のカカオ豆や物流費が高騰する中、各社は焼き菓子などチョコレート以外の商品を拡充する。欲しいものには重点的にお金を使う「メリハリ消費」の傾向が強まっており、パティシエが目の前で仕上げるデザートコースなど特別な体験で付加価値を高め需要を喚起する。

そごう・西武は、チョコ以外の商品を25年比で2倍に増やした。原料高と消費者の多様な需要に対応する。サントリー発のスタートアップ、モカブル(東京・渋谷)はコーヒー豆を丸ごと微粉砕して作る菓子を販売する。見た目はチョコのようだがカカオは不使用で、コーヒーの香りと味を楽しめる。そごう・西武ではサブレやガレット、ようかんなどもそろえた。

そごう・西武ではコーヒーを使った菓子「モカブル」を打ち出す(7日、東京都豊島区)

チョコの価格は「30%ほど値上がりした商品もある」(担当者)というが、チョコ以外の商品を拡充して平均単価は前年並みに抑えた。日本初上陸のブランドのチョコを打ち出すなど、チョコ好きの顧客にも訴求する。

伊勢丹新宿本店(東京・新宿)などで開く「サロン・デュ・ショコラ」でも、チョコ以外の商品を1割ほど増やした。フランスの菓子「ギモーヴ」やかんきつをチョコで覆い、満足感を落とさない工夫をした商品も目立つ。先行したオンライン販売では、国内ブランドの売上高が伸びているという。

松屋銀座店(東京・中央)が出店社の一部へ実施した調査では、平均1割ほどの値上げが見られた。価格を据え置きにしたというブランドからは、材料のまとめ買いや包材の簡素化、新メニューでカカオの使用量を抑えるなど様々な工夫の声が上がった。

物価高でも消費者の需要は旺盛だ。同店が25年12月に実施したアンケートによると、バレンタインチョコの平均予算は「自分向け」が1万662円(前回比15%増)、「本命」が5573円(同13%増)でいずれも前年を超えた。節約意識の質問では「バレンタインチョコは節約を意識しない」との回答が72%で、メリハリ消費の傾向がうかがえる。

松屋ではパティシエが目の前で仕立てるデザートコースを提供(7日、東京都中央区)

松屋銀座店では、出店ブランドの3割がイートインや実演販売を実施する。今回、パティシエが目の前で一皿ずつ仕立てる事前予約制のデザートコースを初めて提供する。最も高いコースで1万8700円だが「高価でも限定的な体験を求めている顧客は多い。若年顧客の取り込みにもつながる」(担当者)と、顧客の体験価値を重視する。

国産素材を使った国内ブランドも前年比で3割増やした。沖縄産のカカオや日本酒、国産のタヒチライムなどを使ったこだわりの商品をそろえた。物価高が続くがバレンタイン商戦は盛り上がりが期待できそうだ。

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