起工式に出席したMeiji Seikaファルマの永里敏秋社長(27日、神奈川県小田原市)

明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマは27日、神奈川県小田原市に設けるワクチン工場の起工式を開いた。永里敏秋社長は出席者の前で「必ずこの地から素早くワクチンを供給することを誓う」と強調した。新工場は平時と有事の時で生産品目を切り替える「デュアルユース(両用)」の機能を持ち、国内生産の体制を整える。

普段は年間約350万人分の抗生物質製剤とワクチン約1000万人分を製造し、感染症のパンデミック(世界的大流行)発生時にはメッセンジャーRNA(mRNA)技術を使ったワクチンを年間8800万人分生産することを想定する。

ワクチンの生産体制強化を支援する経済産業省の事業費補助を利用して建設する。2028年に竣工し、手続きを経て29年度の商業生産開始を目指す。

同社は新型コロナウイルスのmRNAワクチン「コスタイベ筋注用」を手がける。「レプリコンワクチン」と呼ばれるタイプで、接種すると体内でmRNAが自己複製する特徴がある。少量の接種で抗体ができ、効果が持続する利点がある。

工場を新設する事業所内では現在、医薬品の研究拠点として候補物質の創出や製法の確立などを行っている。製剤工場が新設されることで開発から供給までの一貫体制をとれるようになり、新たな感染症の流行時にも連携しやすい。

【関連記事】

  • ・明治HD系の新型コロナワクチン、欧州当局が承認勧告
  • ・コロナワクチン開発1900億円、6社中4社実用化できず
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。