中東情勢の緊迫化が住宅業界を直撃している。
住宅の断熱材、配管、塗料といった建材や関連製品の多くは、石油を精製する過程で得られる「ナフサ」が原料だ。
ナフサの供給不安を受け、各メーカーは建材の値上げや出荷制限を続々と発表している。
近年、円安や資材高騰に苦しんできた住宅業界に「ナフサ危機」が追い打ちをかけており、さらなる価格高騰や工期遅延が懸念される。
最大80%の値上げも
「自助努力では限界に達しており、今後の安定供給のためには価格改定を実施せざるを得ないと判断いたしました」
大手総合化学メーカー「カネカ」は19日、住宅用断熱材「押出法ポリスチレンフォーム」の製品価格を4月出荷分から40%引き上げると発表した。
日本は原油輸入の9割を中東に依存する。米国とイスラエルのイラン攻撃をきっかけに、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、ナフサの国内供給不安が広がった。
政府は30日、赤沢亮正経済産業相を「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当相」に任命し、ナフサの安定供給確保を図るが、先行きは見通せない。
三菱ケミカル、三井化学、旭化成などの化学メーカーはナフサを原料とするエチレンの減産を発表。建材メーカーからは「ポリスチレン断熱材製品を5月出荷分から40%値上げ」「(水道管などに使われる)塩化ビニール樹脂を4月納入分から1キロ当たり30円以上の値上げ」――といったリリースが相次いでいる。
ある建築塗料メーカーは23日付で顧客に塗料の希釈剤などに使われるシンナー製品全般を30~80%値上げすると通達し、平時の数量を超える注文を控えることも要請。補修剤や床材のメーカーも販売数量の制限を始めた。
住宅建設の現場に影響
実際に住宅をつくる工務店にも影響が広がる。
一部の工務店は、住宅注文の見積もり単価の値上げに踏み切った。ホームページなどで「今後の見積もりは現在の単価の見積もりに5~10%の値上げをした単価を適用する」と発表した店もある。
Xでも業界関係者たちから悲鳴が上がる。
<やばい、また値上げラッシュやん>
<メーカーから毎日通達。先行き不透明でどうなるんだ…>
<(シンナーの)発注入れたら既に在庫切れ>
<新規の見積もりできないよこれじゃ>
「ウッドショック超え」懸念
「ナフサ危機の影響の広さはウッドショックを上回る可能性がある」
浜松市の工務店「LIFEFUND(ライフファンド)」は30日に発表したリリースで、住宅建設を計画中の人へ向け、建材値上がりや工期への影響が出る可能性があることを注意喚起した。
住宅業界は近年、採算が厳しい状況が続く。
2021年には、新型コロナウイルス禍に伴う物流網の混乱や景気回復による需要増を背景に、世界的に木材需給が逼迫(ひっぱく)し、価格が高騰する「ウッドショック」が発生。円安や資材高騰、ロシアによるウクライナ侵攻も拍車をかけた。
今回のナフサ危機では木材にとどまらず、より幅広い建材に悪影響が出る。ホルムズ海峡の封鎖が解消しても、価格が高止まりする懸念もある。
LIFEFUNDはリリースで、「家づくりは人生の大きな決断で、耳障りの良いことだけを伝えるのは違うと思っている」と強調した。
白都卓磨・代表取締役は「情報収集に尽力し、お客様の計画や判断に必要な情報をいち早く提供していきたい」とコメントしている。【尾崎修二】
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