
京都フィナンシャルグループ(FG)は2日、2029年3月期に純利益900億円以上を目指すとした新たな中期経営計画を発表した。今後の金利上昇を見据えて主力の銀行業務を強化するほか、デジタル関連の投資を手厚くして収益力を底上げする。
京都FGは26年3月期の連結純利益を950億円と見込む。政策保有株として持つ任天堂株を約820億円分売却したことが利益を押し上げる。これを差し引くと実質的には430億円程度だったもようで、29年3月期の純利益目標は2倍の水準となる。
24年11月に掲げた目標では29年3月期の純利益は600億円としていた。自己資本利益率(ROE、純資産ベース)の目標は従来の5%から8%以上に引き上げた。
2日に京都市内で記者会見した土井伸宏社長は今回の目標数値は保守的としたうえで「金利面を含めた環境変化を好機ととらえ、ROE10%、純利益で1000億円超を視野に取り組んでいく」と意欲を示した。
大幅な増益を目指すうえでは主力の銀行部門の強化がカギとなる。子会社の京都銀行の融資のポートフォリオを見直し、貸出金などの信用リスクアセットは5.4兆円と現在より1兆円積み上げる。原資となる預金残高も現在の9兆5000億円前後から10兆円台に乗せる考えだ。
総人員の1割に相当する380人をグループ会社も含めて戦略分野に配置転換する。創業支援や事業承継、M&A(合併・買収)などの提案型営業を仕掛けやすくする。京都FGにはグループの成長を促す専門組織も1日付で設置した。京都銀の安井幹也頭取は「これまで培ってきた課題解決力などを生かし、京都FGの成長につながるよう戦略を策定した」と話した。

デジタル関連では顧客向けのスマートフォンアプリの刷新や店舗営業などで投資を手厚くする。業務効率化も含め、ITやデジタル投資として今後3年間では150億円以上とこれまでの3年より倍増させる。人材への投資も2倍の70億円以上を投じる。
新中計では銀行の業務効率を示す経費率(OHR)も新たに目標として掲げた。25年3月期の57.5%だったのを40%台に引き下げ、地銀トップ水準をめざす。
創業まもない企業の発掘・支援も力を入れる。スタートアップを中心とした成長投資には、29年3月までに1000億円以上を投じる。これまでは31年3月までに実施する予定で、計画を2年間前倒しする。
成長投資や株主還元の原資として、京都銀行の政策保有株の削減を加速する。26年3月までの1年半では任天堂株を中心に1800億円(時価ベース)を売却したが、今後3年間でさらに1200億円以上を削減する。5年弱で3000億円以上を売却し、資産効率の改善につなげる。
配当と自社株買いを合わせた総還元性向は50%以上と、従来計画を据え置いた。26年3月期計画を含めた直近3年では75%を超えている。土井社長は「投資家も期待しており、柔軟かつ積極的な株主還元をしていきたい」とした。
(岩野孝祐)
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