
塩野義製薬とFRONTEOは3日、人工知能(AI)との会話を通じて認知機能の状態を判定できるスマートフォン用アプリを開発したと発表した。スマホがあれば手軽に利用できる。10月から日本生命の認知症を保障する保険に付帯するサービスとして提供を始める。
利用者は「最近おもしろかったこと」などいくつか提示されるテーマから話題を選択し、5〜10分間AIの質問に答えることで診断を受けられる。FRONTEOが開発したAIは会話内容を文字起こしし、文脈のつながりや語彙の多様性を解析して記憶や言語理解などの機能をスコア化する。結果に応じて行動変容を促すメッセージも提示する。
内閣府の高齢社会白書によると2030年度の認知症患者数は約520万人に達する見通し。軽度認知障害(MCI)を含めると1100万人を超え、高齢者の約3分の1にあたる。
認知機能は加齢とともに低下するが、生活習慣の改善などで進行を抑えられるとされる。アプリを監修した慶応義塾大学の三村将名誉教授は「本人が活用を習慣化することで認知機能の低下を早期に把握し、予防に役立てることができる」と話した。
販売を担当する塩野義製薬によると、日本生命以外に複数の保険会社とも導入の話を進めているという。今後、金融機関や運転免許センターなどへの提供もめざしていく。
塩野義とFRONTEOは今回のアプリと同じAIエンジンを使って、医師と患者の会話から認知症リスクを判定する医療機器の開発も進めており、2026年度の承認申請をめざしている。
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