
ソニーグループ系で配車アプリを手掛けるS.RIDE(エスライド、東京・港)は4日、タクシー向け配車システムの電脳交通(徳島市)とシステム連携を始めたと発表した。タクシー会社による無線配車とアプリの併用を容易にする。10月にも仙台市のタクシー会社にエスライドのアプリを導入する。配車アプリのシェアを広げる。
電脳交通のシステムは無線配車のデータをクラウド上で共有し、タクシー運転手が座席に設置したタブレット上で配車情報や地図データを確認できる。これにエスライドの配車アプリを連携させる。スマートフォンアプリを介した配車注文をタブレットの同一画面で扱えるようにする。
従来は無線とアプリを併用する場合、複数のタブレットを設置したり画面を切り替えたりする必要があった。こうした手間をなくし、配車注文の間口を広げられる。まず10月以降に電脳交通のシステムを使う仙台中央タクシー(仙台市)の車両112台にエスライドのアプリを導入する。
エスライドのアプリを使う乗客にとってはアプリでの配車やキャッシュレス決済が可能なタクシーが増える。法人契約による決済機能にも対応し、社員の立て替え負担の削減にもつながる。エスライドの橋本洋平社長は「強みとする首都圏のビジネスパーソンやヘビーユーザーの利便性を高める」と話す。
電脳交通のシステムは47都道府県で約600社、約2万2000台のタクシーが導入している。利用企業にとってエスライドのアプリを採用する手間が減る。電脳交通の近藤洋祐社長兼最高経営責任者(CEO)は「対応する配車アプリを増やしてタクシー会社の経営を後押ししたい」と語る。
エスライドは東京都や大阪府など10都府県の主要エリアでサービスを提供する。電脳交通との連携を生かし、展開済みのエリアのほか、電脳交通の顧客網を生かして他県への展開も検討する。
競合他社では大手のGO(東京・港)が月内にサービス地域が全47都道府県となる予定で、米ウーバーテクノロジーズ傘下のウーバージャパン(同)も25年内の全国展開を目指す。ソフトバンクなどが出資するDiDiモビリティジャパン(同)も21都道府県でタクシー配車を手掛ける。

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