CBSニュースは、看板番組でインタビューの編集をやめる

【ニューヨーク=清水石珠実】米放送CBS傘下の報道事業「CBSニュース」は5日、主主力の報道番組で流すインタビューは原則、ノーカットで放送する方針を明らかにした。同番組で公開したインタビューについて、8月に出演した米政権高官が自らの発言が削除されたことを批判していた。

対象となるのは日曜朝の看板報道番組「フェース・ザ・ネーション」。CBSニュースは5日、この番組内で放送するインタビューは生中継か、カットや編集を加えない事前収録になると発表した。話者の発言が法に抵触したり安全保障に影響を与えたりする場合には、例外的に編集を認める。

CBSニュースの広報担当者は、声明のなかで「視聴者からのフィードバックを受けた決断だ」と述べ「インタビューの透明性をより高める」と説明した。

「フェース・ザ・ネーション」を巡っては、ノーム国土安全保障長官が8月末に出演し、インタビューを受けた。

3月に米政権の手違いでエルサルバドルに強制送還された米メリーランド州在住の移民について、犯罪組織との関連があるなどと発言したが、こうした内容をCBSニュース側がカットしたため、「真実を隠した」と苦情を申し立てていた。

今回、CBSニュースがインタビューを巡る放送方針を変更した背景には、ノーム氏など米政権からの圧力があるとみられる。

CBSニュースの報道内容には、トランプ米大統領も不満を表明しやり玉にあげた経緯がある。

24年10月、同社は米大統領選で民主党の候補だったハリス前副大統領のインタビューを放映した。その内容について、共和党候補だったトランプ氏がハリス氏に有利なるように不正に編集していると主張し、CBSを提訴した。

この訴訟を巡っては、CBSの親会社である米メディア大手パラマウント・グローバル(現パラマウント・スカイダンス)が7月、トランプ氏に和解金1600万ドル(約24億円)を払うことで合意した。

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