一日1〜2時間の作業をロボットが代替する(9日、東京都荒川区)

セブン―イレブン・ジャパン(SEJ)はロボットを使った店舗業務の省人化に乗り出した。清掃や飲料の補充などを担う複数のロボットを東京都内の店舗に導入。効果を検証しつつ、中長期的に国内の既存店での活用を視野に入れる。業界ではファミリーマートやローソンがロボット活用で先行するなか、SEJも店舗の効率運営に向けて導入を本格化させる。

9日、東京都荒川区内の直営店で実験的に始めた取り組みを報道陣に公開した。SEJは大阪・関西万博の会場内の店舗でロボットを使った遠隔地からの接客を行っているが、清掃や商品の補充・品出しを担う複数のロボットを同時に導入するのは今回が初めてとなる。

飲料の補充や品出しロボットはバックヤードに在庫として並ぶ商品を自動でつかみ、必要な本数を飲料売り場に出す。従業員が1日1〜2時間行う作業が不要となる。清掃ロボットは店内の床や店舗の窓ガラスの清掃を担う。床清掃は1日2回以上を実施する予定だ。アバター(分身)を通じた多言語にも対応する遠隔接客も行う。

手の届かない場所を拭く(9日、東京都荒川区)

複数のロボットを導入することに決めた背景について、SEJの竹井浩樹オペレーション本部長は「これまで売り上げを伸ばすことで経費増などに対応して利益も増やしてきたが、今はそれだけでは対応しきれないため」と述べた。生産性を高めた店舗運営に踏み込むことで、加盟店の利益拡大や顧客満足度の向上につなげる。

竹井氏はロボット活用による効果として「1時間あたりの作業人員を従来から3割減らせる見込みだ」と説明した。従業員にはロボット活用で余る時間を魅力的な売り場づくりなどに充ててもらう。今後の導入計画については「まず荒川区内の店舗を含め計2店で3カ月ほど実験する」と話した。検証結果を踏まえ既存店への導入を検討していく。

ローソンは6月、都内に次世代型のコンビニエンスストア1号店を開業した。店内ではロボットが「からあげクン」を自動で調理し、床掃除もロボットが自動で行う。バックヤードでは飲料品の陳列をアーム付きロボットが担う。ファミリーマートは在庫管理など1台で3役をこなす清掃ロボットの導入を始め、26年以降に全国で1000台超の採用を目指す。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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