
日本航空(JAL)の国際線の機長が乗務前に飲酒し計3便に遅延を生じさせた問題で、国土交通省は10日、同社を厳重注意とした。再発防止策を30日までに報告するよう求めた。
JALは近年、乗務員による飲酒事案が相次いでいる。今回の問題発覚後、国交省は同社を立ち入り検査。そのうえで「機長に個人的な悪質性があったと認められるとともに、同社の管理監督が十分であったとは言えず、安全管理システムが十分に機能していたとは言いがたい」として行政指導に踏み切った。
JALによると、問題を起こした機長は8月28日(現地時間)のホノルル発中部国際空港行きの便に乗務予定だった前日、滞在先のホテル内で飲酒。搭乗当日に本人が体調不良を訴え、飲酒していたことが発覚した。この影響で同便を含む3便が最大18時間超遅れた。
その後の社内調査で、この機長は内規で滞在先での飲酒が全面的に禁止となった昨年12月以降も10回ほどルールを破っていたことが判明。自主的に実施するアルコール検査の際、検知器の日時設定を変更していたことも分かった。飲酒したことを隠蔽しようとしたとみられる。
JALはこれまでも飲酒問題で2018年、19年に航空法に基づく事業改善命令を受け、パイロットへの教育方法の見直しなど再発防止策を講じてきた。昨年12月には豪メルボルンで機長らが社内規定値を超えるアルコールを摂取して隠蔽しようとした事案が発覚。業務改善勧告を受けた。
今回、JALが受けた厳重注意は安全確保などのため改善を促す行政指導の一つ。事業改善命令などの行政処分と異なり法的拘束力はない。
国交省は所管する事業者が安全運航に関する法令違反などを起こした場合、事案の重大性や組織的な悪質性などを踏まえ処分や指導の内容を決めている。行政指導は軽微なものから順に口頭指導、厳重注意、業務改善勧告がある。
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