
ビール大手4社が10日に発表した8月の国内ビールの販売数量は、前年同月比9%減となり、2カ月ぶりにマイナスに転じた。夏場は最需要期だが、35度を超える猛暑が続いた影響でビールの消費が低迷した。出荷日が前年より1日少なかったことも響いた。9月も残暑が続くなか、消費を戻せるかが焦点になる。
気象庁によると6〜8月の平均気温は平年を2.36度上回り、3年連続で統計史上最高を更新した。東京都心では8月18〜27日にかけて10日連続で最高気温が35度を超える猛暑日が続いた。ビール業界では最高気温が35度を超える日が続くと、飲み物需要は清涼飲料に流れるほか、外出消費も減り、ビールの販売が落ち込むとされる。
8月のビール販売は各社の主力ブランドが軒並み低調だった。アサヒビール「スーパードライ」は11%減、キリンビール「一番搾り」は7%減、サントリー「プレミアムモルツ」は12%減、サッポロビール「黒ラベル」は5%減だった。
発泡酒などを含むビール類飲料全体は11%減で5カ月連続で前年割れだった。容器別ではスーパーやコンビニエンスストアで販売する家庭用の缶が13%減、飲食店向けの瓶やたるは5%減だった。

発泡酒や第三のビールを合わせた「エコノミージャンル」は14%減で、5カ月連続でマイナスとなった。
企業別のビール類の販売数量はサントリーが8%減、サッポロが9%減だった。金額ベースのみを公表しているアサヒは6%減、キリンは9%減だった。
9月は前年と比べ出荷日が1日多いほか、各社が新商品を投入することから、ビール類の販売数量は微増すると見込まれる。一方、「9月は残暑が続くと予報されており、物価高のなかで消費者の節約志向が高まり、ビール類の消費低迷はしばらく続く」(業界関係者)という見方もある。
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