京都大学発スタートアップエネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)は10日、薄くて曲がる「ペロブスカイト型太陽電池」の開発に向けて産学連合をつくると発表した。トヨタ自動車や日揮など9社のほか、京大や青山学院大学が参加する。建物の屋根や壁に設置しやすい太陽電池の開発を急ぐ。

エネコートの事業がこのほど国の「グリーンイノベーション(GI)基金」に採択された。同基金からの補助と自己資金を合わせて100億円規模を投じるとみられる。素材や実証の技術を持つ大企業と組んで開発する。

エネコートを幹事としてコンソーシアムをつくる。トヨタ自動車、日揮、KDDI、豊田合成、YKKAP、京大、青山学院大などの企業や大学が加わる。2030年までの研究開発と実証で協力する。

ペロブスカイト型は次世代の太陽電池として今後の普及が期待されている。エネコートは23年からトヨタと車載用を共同開発してきた。今回の資金で建物の屋根や壁に設置する用途に参入する。

ペロブスカイト型太陽電池を用いた室温計などの試作品

ペロブスカイト型は従来のシリコン製太陽電池と比べて重量を10分の1以下にできる。耐荷重の小さい屋根やビル壁などに設置しやすくなる。エネコートはすでに小型品では世界最高水準の発電効率を実現しており、建物などに使う大型品への応用を目指す。

エネコートは30年度までに1キロワット時あたりの発電コストを14円以下に下げる目標だ。このためロール状のフィルムに連続加工して大量生産する生産技術の確立を目指す。現在は四角いシートを1枚ずつ加工する手法をとっている。

ペロブスカイト型は日本発の技術だが国内外で開発競争が進んでいる。国内では積水化学工業が量産化に向けた新会社を立ち上げ、建物などに設置する製品では先行している。18年創業のエネコートは企業規模で劣るが、京大発の材料技術や大手との連合を強みにして追いかける。

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