
ミネベアミツミは11日、温度センサー大手の芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)を終了した。同日までだった期限を延長せず、台湾の電子部品大手、国巨(ヤゲオ)とのTOB合戦から降りる。ミネベアミツミのTOBが成立したかは12日に判明するが、TOB価格はヤゲオの方が15%高いため、事実上の撤退となることが濃厚だ。
延長する場合に11日午後5時までに必要だった手続きを取らなかった。このためTOBの終了が確定した。
ヤゲオは2月、芝浦電子に対して同意なき買収を提案し、ミネベアミツミは4月に友好的な買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げた。以来、両社によるTOB価格の引き上げ合戦が繰り広げられていた。
TOB価格はミネベアミツミが6200円、ヤゲオは7130円。ヤゲオは芝浦電子の買収にあたり必要だった外為法上の審査の承認を2日に取得したことで、ヤゲオ側の勝利の可能性が高まっている。ヤゲオの現在のTOB期限は18日だ。
芝浦電子の11日の終値は7110円と、ヤゲオが提示する7130円に近い価格で推移した。

ミネベアミツミの貝沼由久会長最高経営責任者(CEO)は8月、TOB価格を6200円から引き上げないと明言。「負けたとしても、電子部品の技術が海外に流出することに警鐘を鳴らせた」とホワイトナイトの意義を強調した。
ミネベアミツミは2029年3月期までに現在の約6割増に当たる売上高2兆5000億円を達成する目標を掲げている。芝浦電子のセンサー技術と自社の電子部品技術を組み合わせ成長する戦略だった。TOBが不成立となった場合、成長シナリオを実現するべく新たなM&Aに着手する可能性もある。
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