米労働省の庁舎=2024年2月14日、秋山信一撮影

 米労働省が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2・9%上昇し、伸び率は前月(2・7%)を上回った。トランプ米政権による関税引き上げが物価上昇(インフレ)を助長しているとみられるが、伸び率は市場予測の範囲内に収まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まった。

 食料品は3・2%上昇し、伸び率が前月(2・9%)を上回った。中古車も6・0%上昇し、前月(4・8%)から加速した。一方、家賃など住居費は3・6%上昇で、伸び率は前月(3・7%)に比べ、やや鈍化した。

 変動の大きなエネルギーと食料品を除くコア指数は3・1%上昇で、伸び率は前月と同じだった。

 米企業はトランプ政権の関税引き上げに伴うコストを販売価格に転嫁しているが、8月のCPIでは急激なインフレは起きていないことが示された。一方、米経済の先行き不透明感から雇用市場は減速している。FRBのパウエル議長は雇用の下支えを重視する考えを示しており、16、17日の次回会合で6会合ぶりの利下げに踏み切るとみられる。【ワシントン大久保渉】

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