中央大と台湾大の研究チームは12日までに、世界11カ国・地域で販売されるかば焼きなどのウナギ製品をDNA分析した結果、99%以上は絶滅の恐れがある3種だったと発表した。広く食用とされながら国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧と評価するアメリカウナギ、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギだった。

ウナギは世界的に不透明な取引が横行しており、実態が分からない流通量を把握する手がかりになる。
チームはアジアや欧米、オセアニアの11カ国・地域の26都市で2023〜25年に購入した加工品や生鮮品計282点の種類を遺伝子から特定。アメリカウナギ154点、ニホンウナギ120点、ヨーロッパウナギ4点、インドネシアショートフィンウナギ1点で、3点は分析できなかった。
結果を基に各国の生産量と貿易統計、市場規模から世界全体の流通割合を推測すると、アメリカウナギ75.3%、ニホンウナギ18.0%、ヨーロッパウナギ6.7%。流通量の国別では、最多は中国が約60%、日本が約19%で、東アジアが大半を占めるとみられる。
ウナギを巡っては欧州連合(EU)が、国際取引を規制しなければ絶滅の恐れがあるとして、全種をワシントン条約に掲載することを提案している。中央大の海部健三教授(保全生態学)は「資源量や消費量が分からないのが大きな問題。食卓がいかに世界とつながっているか、現状を知ることが大事だ」と指摘している。
研究成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。〔共同〕
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