経営説明会に出席した日東電工の高崎社長(12日、東京都千代田区)

日東電工は12日、電子機器を修理する際などに部品の取り出しが簡単にできる産業用テープ(電気剝離テープ)の売上高を2029年3月期までに26年3月期比2倍超にする計画を明らかにした。足元の売上高は非公表だが、27年3月期に100億円程度を目指している。

高崎秀雄社長が12日のアナリスト向け経営説明会に出席し、「欧州などで『修理する権利』を意識した動きが広がっている。電気を使ってテープを簡単に剥離する技術が(修理需要に)合致する」と話した。

日東電工の電気剥離テープは現在、スマートフォン内に電池を固定する役目を担い、修理時は電流を流すと簡単にはがすことができる。スマホ以外にタブレットやイヤホンの電池を固定する用途が見込まれるほか、別の用途の開拓も進める。

12日は産業用テープ以外の状況も説明した。二酸化炭素(CO2)分離技術はノルウェーのAqualung Carbon Capture社に出資した。Aqualung社は特定の分子を効率的に透過させる膜の技術を持つ。日東電工のノウハウと組み合わせ、CO2回収技術の性能やコスト効率を高めて実用化につなげる。

半導体パッケージの新材料を巡っては米IBMと共同開発契約を結んだ。日東電工は将来的にチップとパッケージ基板をつなぐ再配線層の供給を目指す。三木陽介最高技術責任者(CTO)は「通常はシリコンが使われるが、独自の有機絶縁材料を使い、コストを大幅に削減できる」と説明する。

26年3月期を最終年度とする中期経営計画の進捗は、営業利益率は目標の17%を達成するメドをつけたものの、自己資本利益率(ROE)は26年3月期の予想で11.9%と目標の15%に届かない。高崎氏は「財務状況のバランスを考えながら、自社株買いも含めて検討する」とした。

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