
【ニューヨーク=佐藤璃子】米ニューヨーク証券取引所に株式上場している英国発の会員制社交クラブ「Soho House(ソーホーハウス)」は18日、投資家連合が同社の一部株式を取得し、非公開化すると発表した。2025年末までの取引完了を目指し、同社は上場から4年ほどで上場廃止になる。取締役会には米有名俳優などが加わる。
ソーホーハウスは18日、米ホテル運営大手MCRホテルズと同社のタイラー・モース最高経営責任者(CEO)が率いる投資家グループが、ソーホーハウスの発行済み株式を取得する契約を締結したと発表した。米人気俳優で投資家のアシュトン・カッチャー氏が率いる投資家連合も新たに出資する。
米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメント系のファンドも追加資本を提供する。ソーホーハウス会長のロン・バークル氏らが経営権を持つ体制は維持しつつ、モース氏とカッチャー氏は取締役会に加わる。
同社の普通株を持つ株主は、1株当たり9ドルを受け取る。同社が買収提案を受けたと最初に発表する前の24年12月18日の終値(4.91ドル)を約83%上回る価格(プレミアム)が付くことになる。ソーホーハウスの負債込みの企業価値は総額およそ27億ドル(4000億円)という評価に基づき、一連の取引を実行する。
英ロンドン発のソーホーハウスはニューヨークやロサンゼルス、パリなど世界の主要都市で40カ所以上の施設を運営している。26年春にも日本初の拠点が都内にオープンする予定だ。世界中すべての施設が利用可能になる特典がついたメンバーシップを年会費62万円で提供する。
同社は21年7月の上場以来、利益の確保に苦戦してきた。急速なグローバル展開に伴い、サービスの質や特別感の維持が難しくなったとの指摘が多い。同社の株価は足元で急騰しているが、上場当初の水準と比べればなお3割ほど低い。足元では業績が回復傾向にあり、25年4〜6月期決算は前年同期の赤字から黒字転換を果たした。
同社のCEO、アンドリュー・カーニー氏は「非公開化により世界クラスのホスピタリティや投資パートナーの支援を受けることができ、この勢いをさらに加速させることができる」と説明する。
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