アメリカでは、連邦政府の今の予算の期限が9月30日に迫っていて、与党・共和党の議会指導部は19日、10月1日から11月21日までの新たなつなぎ予算案を議会下院で可決させましたが、議会上院では野党・民主党が医療保険の補助延長などを盛り込むよう要求し、否決されました。
このためトランプ大統領やバンス副大統領は29日、両党の議会指導部と会談しましたが、合意には至りませんでした。
バンス副大統領は記者団に対し「われわれは政府機関の閉鎖に向かっている。政策上の意見の相違を、政府の基本的なサービスを停止するように追い込む手段として使うべきでない」と述べました。
これに対し、民主党の上院トップ、シューマー院内総務は「われわれは国民が支持するであろう医療保険制度などについて大統領に提案した。この一部を受け入れれば閉鎖は避けられるが、隔たりは依然として大きい」と述べました。
アメリカでは連邦政府の予算をめぐる対立は恒例行事のようになっていますが、トランプ政権は政府機関が閉鎖する場合に職員を削減する姿勢をみせて民主党をけん制するなど、緊迫した情勢となっています。
政府機関の閉鎖は過去14回
アメリカでは予算案をめぐる与野党の激しい対立はいわば恒例行事となっていて、欧米メディアによりますと政府機関の閉鎖は1981年以降、14回に上っています。
多くのケースでは閉鎖は一日で解除されていますが、アメリカのシンクタンク「ブルッキングス研究所」によりますと、2営業日以上の閉鎖が過去に4回あったということです。
このうち民主党のクリントン政権下では、1995年から96年にかけて歳出の水準で合意できず、2回の閉鎖であわせて26日間におよびました。
2013年には、当時のオバマ大統領が進めていた医療保険制度改革の財源をめぐる対立で、16日間閉鎖されました。
また、1期目のトランプ政権下では、メキシコとの国境沿いに壁を建設する費用をめぐって与野党が対立し、2018年の12月から2019年1月にかけて、過去最長の35日間にわたる閉鎖に追い込まれました。
今回、仮に政府機関の一部が閉鎖されれば、このとき以来、およそ7年ぶりとなります。
過去のケースでは、連邦政府の職員が自宅待機を命じられたり、無給で働いたりすることを余儀なくされ、各地の空港では、保安検査などを行う職員の欠勤が相次いだことで旅行者にも影響が出ました。
また、一部の国立公園や首都ワシントンの観光名所の博物館などの施設も閉鎖され、ワシントンではホテルの宿泊客が大きく減少しました。
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