年季の入った赤い車体に、開けっ放しの窓。タイの首都バンコクで「赤バス」の通称で親しまれてきた日系メーカーの旧式路線バスが、姿を消すことになった。運行する「大量輸送公社」が、2027年までに全ての旧式バスを電気自動車(EV)に切り替えると発表した。深刻化する大気汚染の対策の一環だという。
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旧式の赤バスは、日野自動車やいすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バスといった日本勢が多くを占めている。1990年代から30年以上も現役で走る車体も少なくない。
高温多湿のバンコクだが、エアコンは付いていない。走行時に黒い煙を吐き出しながら、窓を全開にして走る姿は、日本人観光客の間でもよく知られてきた。
公社が保有する約2900台のうち、半数以上の1520台が赤バスを中心とする旧式車だ。公社は9月26日、旧式車を順次、EVに入れ替える方針を発表。大気汚染の原因となっているPM2.5の排出が抑えられるうえ、燃料費の負担減などで年14億4200万バーツ(約66億円)のコスト削減ができるという。
EVの路線バスも、運賃は一律8バーツ(約36円)に据え置かれる。市民の多くはエアコンの効いたEVの導入に、おおむね好意的な反応を示している。
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