
【NQNニューヨーク=戸部実華】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比243ドル36セント(0.52%)安の4万6358ドル42セントで終えた。株式相場の過熱感が意識されるなか、主力株には利益確定の売りが出た。ダウ平均の下げ幅は300ドルを超える場面があった。
米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げ観測や人工知能(AI)銘柄の上昇などが株高を支えてきた。前日にはハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が初めて2万3000台に乗せ、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も最高値を更新。高値警戒感や相場の過熱感が意識されやすかった。
新しい会計年度のつなぎ予算案が成立せず、米政府機関の一部閉鎖は9日も続いた。閉鎖が長引けば、経済成長を下押ししかねないとの懸念もある。9日は週間の新規失業保険申請件数の公表が前週に続いて見送られた。今後の利下げペースを探るうえで市場が重視する雇用関連指標を欠き、買い手控えにつながった。
市場では「経済動向を確認するデータが不足するなか、相場上昇が勢いづいてきた後で利益確定売りが出た」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声が聞かれた。
来週には主要企業の決算発表が本格的に始まる。株高が続いた後で「期待に沿う内容であれば良いが、決算を巡る懸念がある」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との見方もあった。
朝方にダウ平均は上昇する場面もあった。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が労働市場の減速リスクに配慮し、年内の追加利下げを支持する考えを示したと米紙ニューヨーク・タイムズ紙が9日に報じた。根強い追加利下げ観測は相場を下支えした。
ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやトラベラーズ、ハネウェル・インターナショナルが売られた。アップルやマイクロソフトも下げた。半面、エヌビディアは高かった。米政府がアラブ首長国連邦(UAE)への半導体輸出を承認したと伝わり、好感された。セールスフォースとアマゾン・ドット・コムも上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落した。前日比18.752ポイント(0.08%)安の2万3024.626(速報値)で終えた。テスラが下げた。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)がテスラの運転支援システムを搭載した車両の安全性を巡る予備調査を始めたことが嫌気された。アルファベットも下落した。
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