抗議デモの拡大を受け、出動に備えて行進するインドネシア軍兵士=ロイター

インドネシアとネパールで政権に対する抗議活動が若者を中心に広がり、いずれも死傷者を出す事態に発展しました。東南アジアや南アジアでは、他国でも政治的混乱が続いています。日本経済新聞の英文媒体「Nikkei Asia」でも急変するアジアの政治情勢が読者の関心を集めました。

インドネシアでは8月下旬に首都ジャカルタで抗議活動が広がり始め、警察署や議会施設が破壊されました。引き金は議員の高額な住宅手当に対する批判でしたが、雇用不安などを背景に国民の不満はすでに高まっており、瞬く間に全国に広がりました。

プラボウォ大統領は手当の一部廃止などを表明する一方、破壊行為に対しては強硬な措置をとるよう指示を出しました。専門家は「治安強化だけは根本的な解決にはならず、かえって国民の不満を増幅させてしまう」と警鐘を鳴らします。

ネパール議会の敷地に入る抗議デモ参加者=ロイター

ネパールでは、政府のSNS規制などに対する若者らの抗議が激化しました。自宅が放火の被害を受けたオリ首相は辞任。3月に総選挙が実施されるまで、若者の支持が厚い元最高裁長官のスシラ・カルキ氏が暫定首相として国家運営のかじを取ります。

タイでは、カンボジアとの国境紛争への対応を巡って憲法裁判所がペートンタン首相を憲法上不適任と判断し解職を決定しました。後任のアヌティン新首相は4カ月以内の議会解散を約束しています。

アジア地域では、軍事政権と反体制派の衝突が続くミャンマー(12月〜26年1月)、2024年8月にハシナ政権が崩壊し暫定政権が統治してきたバングラデシュ(26年2月)、ネパール(同3月)、タイ(同3〜4月)と相次いで総選挙が予定されています。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます Why the Indonesia protests blew up: 5 things to know Nepal PM Oli resigns as protesters set fire to his home Thai PM Paetongtarn Shinawatra removed: What happens next?

ライフ&アーツ インド内陸の都市プネの魅力

地元の食文化にも注目

インドの商都ムンバイの南東に位置する内陸の都市プネを紹介した記事がよく読まれました。17〜18世紀に栄え、一時はインドの大半を支配したマラーター王国が都を置き、英国統治下ではインド独立の父マハトマ・ガンジーが軟禁された場所であり、歴史的背景の豊かな都市です。

南部ベンガルールに本社のあるインドIT大手インフォシスの創業の地であり、自動車メーカーの工場も多数立地しています。インド政府の昨年の「暮らしやすさ指数」でベンガルールに次いで2位でした。地元の人が愛するスナックを提供する屋台やカフェ、史跡も紹介しています。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます Footloose in Pune: A quieter alternative to Mumbai

オピニオン ヒマラヤの中国巨大ダムに警鐘

中国のチベット自治区を流れるヤルンツァンポ川=AP

中国が総建設費1680億ドル(約25兆円)を投じてチベット自治区で世界最大のダムの建設を進めています。ダムが設けられるヤルンツァンポ川はヒマラヤ山脈北部を源流とし、下流のインドやバングラデシュの農民や漁業関係者にとってかけがえのない水資源の供給源となっています。

筆者は、石油輸出国機構の石油市場への影響になぞらえ、中国が水を「権力」として捉えていると指摘します。環境への負荷のみならず、ダム建設は中国による「アジアの生命線を支配し、水の覇権を確固たるものにする」試みで、国際社会が声を上げるべきだと主張します。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます China's Himalayan mega-dam is a global threat

国・地域別トップアクセス

@フィリピン 新興企業の資金調達最多

フィリピンでスタートアップ企業の資金調達が2024年に過去最高になりました。事業認可の取得の難しさなどビジネス環境の課題が指摘されてきましたが、堅調な経済成長を背景に、フィンテックや電子商取引の新興企業が成長しています。現地のベンチャーキャピタルは、東南アジアの中でもベトナムやフィリピンが、シンガポールやインドネシアよりも関心を集めていると指摘します。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます Philippine startups ride funding boom, but growing pains remain

@ベトナム ビン、虚偽情報拡散で提訴

ベトナム最大の複合企業ビングループは同社に関する虚偽情報を広めたとして複数のインフルエンサーを提訴したと発表しました。「TikTok、Facebook、YouTubeなどのSNS上で虚偽の情報を拡散し、ファム・ニャット・ブオン会長を含め複数の上級幹部に関する情報を捏造(ねつぞう)した」と主張しています。ベトナムでは否定的な情報は無視するか水面下で撤回を求めるのが一般的で、こうした対応はまれです。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます Vietnam's Vingroup sues social media influencers for fake news

@マレーシア エアアジア、整備事業を拡大

格安航空会社(LCC)のエアアジアはマレーシアを代表する企業のひとつ。同社の持ち株会社キャピタルAは5年前、航空機の整備・修理・オーバーホール(MRO)事業に乗り出しました。MRO事業子会社トップはインタビューで2030年に同事業会社が株式公開を目指すと話しました。最近ではエールフランスから整備契約を獲得、将来的にはエアアジア以外の売り上げ割合を3割に高めることが目標です。マレーシアが航空機産業など経済の高度化を目指している様子がうかがわれます。

■この記事の全文(英文)はNikkei Asiaでお読みいただけます Malaysian aircraft maintenance provider to double capacity as demand rises

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