
【ヒューストン=赤木俊介】トランプ米大統領は10日、米国内の薬価引き下げに向けて英製薬大手アストラゼネカと合意したと発表した。値引きと引き換えに、今後発動が見込まれる医薬品関税から同社製品を除外する。9月末に発表された米製薬大手ファイザーの合意をなぞる形となった。
トランプ氏は同じ医薬品の米国価格が国外と比べ高いことを問題視していた。同氏は欧米の製薬大手に対し、9月末までに他の先進国での提供価格の中で最も安い価格(MFN価格)の導入を求めていた。
アストラゼネカは米市場へ投入する新薬に加え、低所得者向けの公的医療保険「メディケイド」加入者に提供する同社の処方薬に値引きしたMFN薬価を適用する。
米政権が26年に設置する民間の処方薬直販サイトへつながるポータルサイト「トランプRx」にも参加する。
ファイザーの9月合意と同様に、MFN薬価の適用はメディケイドと新薬に限られた。米国勢調査局によると、24年時点で米人口の66.1%は民間医療保険に加入しており、メディケイド加入者は全体の17.6%だった。MFN薬価がどの製品に適用されるかは明らかになっていない。
アストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「(米国以外の)富裕国による資金提供がさらに重要になった」と述べ、医薬品の研究開発費の負担増加を求めた。同社は7月、2030年までに計500億ドル(約7兆4000億円)の対米投資を表明し、25年9月には米ニューヨーク証券取引所へ直接上場すると発表した。
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