欧州連合(EU)の外相にあたるカラス外交安全保障上級代表は13日、ロシアによるウクライナへの「侵略犯罪」を追及する特別法廷の資金として、第1弾となる1千万ユーロ(約17・6億円)を拠出すると発表した。特別法廷は今年5月、約40カ国の賛同で設置が承認され、来年の活動開始を目指している。

 カラス氏はこの日、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウを訪れ、拠出を表明。「ロシアの戦争犯罪の証拠は明白で、犯罪が処罰されないまま放置されれば、新たな犯罪が誘発されるだけだ」と述べた。

 また、ロシアに連れ去られたウクライナの子どもや、ロシア兵らによる性犯罪の被害者を支援するために、600万ユーロ(約10・6億円)を拠出する方針も示した。

 ロシアの侵略犯罪をめぐっては、昨年、EU主導で侵攻に関する証拠の収集・保全などを担う国際機関が発足しており、特別法廷がその証拠を引き継ぐ。国際刑事裁判所(ICC)も捜査を進めているが、非加盟国であるロシアの高官を侵略犯罪で訴追するには国連安全保障理事会からの付託が必要となるため、新たに特別法廷を設ける必要があった。

 米国は当初、特別法廷の設置を支持していたものの、承認国には加わっていない。

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