【ニューヨーク=佐藤璃子】20日の米株式市場でハイテク株中心のナスダック総合株価指数は続落し、前日比142ポイント(0.7%)安の2万1172で終えた。2日間では2%の下げとなった。これまで株式相場の上昇をけん引してきた人工知能(AI)関連への投資が過剰との見方が浮上し、ハイテク株の過熱感が意識されている。

ナスダックの2日間ベースの下げ率は8月1日以来、約3週間ぶりの大きさだ。巨大テックや半導体銘柄が下げをけん引し、個別銘柄では米インテルが7%、米半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーが4%、英半導体設計のアーム・ホールディングスと米アップルが2%、それぞれ前日から下げた。

市場では「AI関連セクターに対する持続可能性への懸念が再燃している」(UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブルハルディ氏)との声があがっている。

市場で警戒感が広がる一因となったのが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した調査だ。複数の欧米メディアによると、MITは報告書で「95%の組織が生成AIへの投資からリターンを得ることができていない」と指摘した。

米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が前週に「AIはバブル期に入っている」と述べたと伝わったことも、AI相場の持続懸念に拍車をかけている。

これまで好決算やAIブームを追い風に、主力テック銘柄に資金が集中していた。4〜6月期の決算ではアルファベット、マイクロソフト、アップル、アマゾン・ドット・コム、メタの大手5社すべてが増収増益だった。S&P500種株価指数の業種別指数の4月1日〜6月30日の伸びもテック銘柄に該当する「IT」や「通信」が2割と最も大きく、過熱感が意識されやすくなっていた。

27日には米半導体大手エヌビディアの決算が予定されている。相場をけん引してきた半導体銘柄の先行きを占う試金石として、これまで以上に注目が集まる。

足元で割高感が生じつつも「AIセクターの長期的な成長と回復力には引き続き自信を持っている」(ホフマン・ブルハルディ氏)とみる市場関係者は多い。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「(テック株安は)一時的な微調整に過ぎない可能性が高い。イエローカードを出す前にさらなる下落の継続を確認する必要がある」と指摘する。

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