
高市早苗首相は28日午前、東京・元赤坂の迎賓館でトランプ米大統領と会談した。日米同盟の強化に向け経済・安全保障分野で協力を深める方針を確認する。首相は対米投融資の拡大や防衛費増額の計画について説明する。
首相は会談の冒頭で「日米は世界でもっとも偉大な同盟になった。日本もともに世界の平和と繁栄に貢献する」と述べた。「私は強い日本外交を取り戻す。自由で開かれたインド太平洋の進展のためにも日米で協力を進めたい」と語った。「日米の新たな黄金時代をトランプ大統領とつくりたい」と強調した。
両首脳が対面で会うのは初めて。会談後にワーキングランチ形式で昼食をともにする。その後、大統領専用ヘリでそろって米軍横須賀基地(神奈川県)を訪れる調整をしている。
首相は21日の就任間もないタイミングでトランプ氏と会う機会をいかして信頼構築につなげたい考えだ。唯一の同盟国である米国と首脳同士の関係を築くことは少数与党下にある高市政権の基盤強化にも欠かせない。
首相はトランプ氏に防衛費を増やす方針を伝える。国内総生産(GDP)比で2%に引き上げる目標を前倒しする。日本政府はこれまで2027年度までに実現すると掲げていた。近く編成する補正予算もあわせて25年度予算で措置する。
トランプ政権は米軍の負担を和らげるため日本に防衛費の増額を迫っている。米国防総省は日本の現行目標では足りないと不満を示す。北大西洋条約機構(NATO)は米国の要請を踏まえ、国防費をGDP比5%に引き上げると決めた。
東アジアでは中国や北朝鮮、ロシアの連携が進む。トランプ政権は中国の軍事力強化を警戒している。核兵器も含めて米国の戦力で日本を守る「拡大抑止」を強化するため、日本側も自主防衛に努める姿勢を強調する。

7月に合意した日米の関税交渉の履行状況も議題になる。両政府は5500億ドル(約80兆円)の対米投融資を決めた。首脳会談で詳細を詰める。半導体や重要鉱物、造船、エネルギーなど9分野の具体的な案件を話し合う。
人工知能(AI)や次世代通信規格など7分野の科学技術協力に合意する。先端分野でも技術力を高める中国に対抗する狙いだ。信頼性の高いAIインフラや通信網の新興国への普及をめざし、研究開発や国際規格づくりを進める。造船能力の強化に向けた協力の覚書も締結する。
トランプ氏がウクライナ侵略を続けるロシアへの厳しい対応を迫る可能性もある。主要7カ国(G7)や欧州などに求めるロシアからのエネルギー購入停止も論点になるとみられる。
米財務省は22日、ロシアの石油最大手ロスネフチなどを経済制裁の対象に加えた。木原稔官房長官は23日の記者会見で、政府として「エネルギー安全保障の観点を踏まえ、国益にとって何が重要かを総合的に判断しながら検討していく」と話した。
トランプ氏の来日は25年1月の第2次政権の発足後、初めてとなる。第1次政権の19年に大阪での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加して以来だ。
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