小泉防衛相(左)と米国のヘグセス国防長官

小泉進次郎防衛相と米国のヘグセス国防長官は29日、防衛省で会談した。小泉氏は日本が主体的な判断で防衛力を強化すると伝える。両氏は安全保障環境への認識をすり合わせ、日米同盟の抑止力、対処力を向上させると確かめる。小泉氏が米国防長官と会うのは21日の就任後、初めてとなる。

高市早苗首相は28日のトランプ米大統領との会談で、防衛力の強化や防衛費の増額に取り組む方針を伝達した。首相によると首脳会談で防衛費の「数字を念頭にしたやりとり」はなかったという。

29日の防衛相会談は小泉氏がより具体的な日本の方針を説明するとみられる。

国家安全保障戦略など安保関連3文書を2026年中に前倒しして改定すると言及する。防衛費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げる時期を27年度から25年度内に早める方針も説明する。25年度の補正予算を使い2年早く実現する。

日米間で日本の防衛費の規模が論点となる。トランプ米政権は同盟国に防衛費を増やすよう求めてきた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国にGDP比5%への引き上げを要求した。NATO加盟国は防衛費の同水準への増額を決めた。

ヘグセス氏が会談で具体的な防衛費の増額規模に踏み込むかが焦点となる。3月に当時の中谷元防衛相と開いた日米防衛相会談では防衛費の水準は言及しなかった。

外務省幹部は「日本の防衛費の増額ペースは主要7カ国(G7)でも突出している。この点を米当局に伝えている」と話す。日本の防衛費増額の取り組みを米国に理解してもらい、米国からの増額圧力をかわす外交に専念する。

日本周辺では中国やロシア、北朝鮮が軍事力を強め、日本の防衛に対する脅威になっている。防衛省は長射程ミサイルを使って相手のミサイル発射拠点を打撃する反撃能力を強めるなど、自前の抑止力の強化に取り組む。

中ロは核を保有し、北朝鮮は核開発を続ける。非核国の日本は、核を含む戦力で同盟国を守る米国の拡大抑止が重要になる。自前の防衛力強化の方針を米国に訴え、米国を東アジアの安保につなぎとめる。

【関連記事】

  • ・高市首相、トランプ氏に防衛費増を伝達 80兆円投資「着実に履行」
  • ・高市首相、防衛費増額をトランプ氏に伝達 「日本も世界平和に貢献」
政治・外交 最新情報はこちら

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。